2025年2月21日
【役員研修】成長のない優良企業は、伸びていく優良企業に飲み込まれていく
2月11日、2025年2月度の役員研修が開催されました。
役員研修は、グループ会社の社長・幹部が集まり「人間をつくる」「成果を上げる」の観点から実践的な研修を行います。今回は、社長の講話から、海外展開と事業承継の話についてお伝えします。
「会社が悪い、上司が悪い」と言って我慢のできない日本人の競争相手は東南アジアからやってくる意欲の高い外国人
―社長
株式会社135が展開する餃子酒場は、10年間で25店舗を展開し、この1年間で5店舗オープンするスピードとエネルギーがある。本田社長をはじめ、従業員約220名のうち210名が中国人だ。株式会社あさくまの「厳選もつ酒場エビス参」では、コロナ禍が明けても売上が回復せず、新規出店もできず停滞していたところに、ネパール人のクマルさんが店長に就任した笹塚店の業績が良くなった。「厳選もつ酒場エビス参」全店では、クマルさんの伝手でネパール人が7~8人働いている。クマルさんの力を見込んで売上が悪かった青物横丁店の店長を任せたら、メニューも客層もガラッと変わり売り上げが上がった。5年間で二人の日本人社長がやってだめだった会社を、日本語もよく分からないクマルさん一人で立て直した。今後クマルさんには本部長をやってもらい、今年一年間で5店舗出店する計画だ。
ビジネス社会で、東南アジアからやってくる意欲の高い外国人相手に競争して、我々日本人は勝てるだろうか。半分以上の日本人は、負けるだろう。俺が生まれた年、日本では210万人が生まれた。それが去年は68万人と、3分の1だ。今後、日本の市場はものすごい勢いで縮小していく。その中で成長するためには、テンポスももっと海外に進出しなければならない。それに向けて、まずは国内の基盤をしっかり固める。
テンポスは100年続く企業を目指している。そのためには、従業員の国籍がどこだろうが関係ない。会社にとって価値のある人を育てる。その結果、テンポスで働く日本人が減ったというなら、それが競争社会の中でテンポスが生き残るために打つべき手だと考えている。実際、来年度テンポスグループに入ってくる新卒社員75人のうち、50人が外国人だ。採用する側としては、やる気のある人から順番に採用していったら、ボヤボヤしてブーたれている日本人の前に外国人が入ってきたということだ。未来のテンポスを作るためには、人を選別していかねばならない。日本人も外国人も落ちこぼれないように育てていくが、やるだけやって落ちこぼれるのは仕方ないと腹を決めて事業展開していく。テンポスだけではなく、日本中がそうなっていくはずだ。働き方に対する社会のトーンにも変化が見られる。5年前までは定着率が高くホワイトな職場がもてはやされたが、この1~2年は、成長していく会社は人が入れ替わるのが当たり前だ、という論調に変わってきている。
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成長のない優良企業は、伸びていく優良企業に買収されていく
M&Aに対する行政の考え方が劇的に変化してきている。2023年には経済産業省が「企業買収における行動指針―企業価値の向上と株主利益の確保に向けて―」を策定した。伸びる企業が伸びない企業を買収して強い企業を作り、世界で通用する日本企業にしていくのが狙いだ。その中で、それまでは「敵対的買収」と呼ばれていたものが「同意なき買収」という表現に変更された。買収は「友好的買収」と「同意なき買収」の二通りあり、日本では双方合意の「友好的買収」がビジネス上の風土になっているが、世界では「同意なき買収」は当たり前だ。あのセブンイレブンでさえ、カナダのファンド会社が買収を持ちかけて話題になった。「敵対的」という言葉の悪いイメージを払拭して、同意の有無は関係なく、伸びる企業が伸びない企業を買収することを、行政が後押ししている。株式上場させた以上は、誰かに買われる可能性があるということだ。「愛社精神」で事業を守ることと、その会社がどこのものかというのは別の話、という時代になっている。
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海外展開に注力。いずれ海外の売上が国内を上回る
―社長
100年企業を目指すということは、事業を引き継いでいくということだ。この役員研修は6年間続けているが、テンポスの事業承継を念頭に置いてやってきた。成長戦略真っただ中だが、78歳の俺にはいつ何があるか分からないので「あとは任せたよ」と言える体制を作っておく。
そのために何をやるか。まずは1000億企業にして、社会から認められる規模の企業にする。国内には330万社あるが、その総売上の8割は、1000社にも満たない1000億企業が担っている。そのグループに入ることが第一段階だ。来期は固い予算で550億円の売上を見込んでいるが、今進めているいくつかのM&Aや出資がうまくいけば120億円くらい加算されて670億円になる。今期が470億円なので、1年間で200億円アップする計算だ。今後もM&Aは進めていくので、翌期は300億円アップもあり得る。そうなると970億円となり、2年間で1000億規模に成長する。向こう5年で2000億円まで仕上げていく。事業の確固たる基盤を作ったら、俺はそこから先、もっとベンチャー的な新しい取り組みをグループの中でやっていくよ。
2000億企業に向かって今後、テンポスは海外展開に注力する。伸びていく会社が力を入れるのは海外だ。テンポスバスターズのやり方が海外で通用するか。先日遠山部長がタイを視察してきた。
―遠山部長
視察の目的は三つ。①同業がどれくらいあるか②現地の飲食店がどこで厨房機器等を買っているか③出店場所の検討。中古の厨房機器や家具等を扱う1000坪くらいの大型店があり、中古はテンポスが販売しているものより古いものが、日本より高い値段で売られていた。皮むき器に至っては、日本で600円くらいのものが2000円だった。関税や輸送コストを含めてもビジネスになる手ごたえがあった。
―社長
ということで、新品・中古を扱う店を実験的にタイに出店する考えだ。修理・再生センターも作る。先日政府関係者と話をする機会があり、こちらが売り込んでいたら話をさえぎってきて「アフリカの子供の生存率が低い。冷蔵庫がないから食べ物が腐ってしまう。冷蔵庫をもっと持ってきてくれ」というリクエストがあった。中古の冷蔵庫の輸出が認められているのは20か国くらいしかないが、ODAで政府発の経済援助でアフリカの市場を狙う。30年間、中古の厨房機器を再生してきたテンポス。それが世界に役立つときが来た。
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飲食事業も海外展開する。俺がフランスに行ったとき、ラーメンが3000円以上で売られていた。食べてみたが、本物のラーメンとは程遠く、まったくおいしくない。世界にはこういう“出来の悪い日本食レストラン”がたくさんあって、値段も高いがそれでも客が来ている。2024年は3500万人の外国人が来日し、本物の日本食やラーメンを食べて帰国した。「こんなにおいしいラーメンがたった1000円なのか!サービスも素晴らしい。それと比べて自分の国の日本食レストランはなんてひどいんだ」となり、本物が求められるようになる。テンポスの海外出店は後発になるが、質の高い日本食を海外で提供することで、日本で本物の日本食を経験した顧客をつかんでいく。
未来のテンポスは、国内より海外の売上の伸びが圧倒的になる時期がくる。それを頭に入れて、俺の後を継ぐ幹部のみんなは、自分の会社をどのように成長させるか、進めていってもらいたい。その上で、まず大事なことは「商売上手」であること。きちんと儲かること、利益が出ることだ。二つ目は新規事業。既存のテンポスを基盤にして「明日のテンポス」を作り上げてもらいたい。さらにその上で、人間ができていること。自分の足元を固めて、家族を安心させた上で、ため込むのではなく、足りない人には惜しげもなく与えられる人間になってもらいたい。最後は人間性だ。
編集後記
前回に引き続き、「商売上手であること」を再度幹部に求めました。既存事業で利益を出し、その利益を新規事業に投資して明日のテンポスを作る。世のため人のためになるまでには、達成しなければならないことが山積みです。世界で戦うテンポス、全員で取り組みます!
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