2024年10月18日

【役員研修】全体を捉える視点と「背負って立つ」という気概を持て!伝えたい4つのこととは。

10月14日、2024年10月度の役員研修を開催。新しいメンバーが4名加わり、いつもに増して活気のある会となりました。
役員研修は、グループ会社の社長・幹部が集まり「人間をつくる」「成果を上げる」の観点から実践的な研修を行います。今回は、社長の講話から、幹部社員の心構えについてお伝えします。

全体を捉えているか、「背負って立つ気概」はあるか

―社長
 グループ会社の幹部社員は、常に全体を捉えなければならない。全体というのはより大きいところから考える必要があり、まずは世の中全体、そして業界全体の動向を捉え、次にテンポスグループ全体の方針を理解した上で、自社の戦略を立てなければならない。テンポスグループ全体の方向性に合わせないと力が分散してしまい、グループとしての最大の成果が得られない。その上で子会社幹部は自社が売上100億円、または上場企業になったら独自の戦略を考えても良い。「背負って立つ」気概を持ち、自分の会社をどうしていくか常に社内で話し合っていないとだめだ。
 全体を捉えた事例を紹介しよう。日本では働き手が足りないという問題があり、外国人の採用ニーズは高い。つい先日「ステーキのあさくま」でも廣田社長がミャンマーに行って日本で働きたい人たちの面接をして、15人を採用してきた。働き手を求めているのはテンポスの顧客(飲食店)も同様で、そのニーズに応えるために、今年8月、テンポスグループの(株)ディースパークがミャンマーに日本語学校を設立した。ミャンマーには既に400以上の日本語学校があるため、ビジネスとしては後発になるが、現地の学校のほとんどは、日本語検定に合格するためだけの教育しかしない。日本語検定に合格したらあとは日本で専門学校に行くなり自力で就職先を探してください、というものだから、就職できない外国人も多い。そこで、テンポスの日本語学校は日本語の勉強だけではなく、就職先を紹介する。これができるのも、日本の飲食企業向けに人材紹介事業を行っているディースパークだからだ。ディースパークの日本語学校に入学すれば、就職先が保証されているといっても過言ではない。後発でありながらも、全体を捉えて、業界の先駆けになることをやっていく。

テンポス人として受け継いでいく4つのこと

―社長
 昨年の株主総会では、創業家の森下兄弟の亡き後、会社をどう発展させていくかというテーマで、幹部社員は壇上でパネルディスカッションを行った。後継者の育成は当社の経営課題の一つである。幹部社員に言い残したいことはいろいろあるが、次の四つに集約される。

  1. 顧客満足と生産性アップを追求し、成果を上げる  我々は市場経済の中で生きている。顧客は誰で、顧客が何を望んでいるかを知り、顧客から選ばれるものを提供しなければならない。そして、良い商品やサービスを、手頃な価格で提供するという、相反する二つのことを追求するのがビジネスだ。顧客が満足するものを、いかに効率よく提供するかで、ビジネスで勝ち残れるかどうかが決まる。
  2. 挑戦  誰かに言われてやるのではなく、自分で課題を作って挑戦しなさい。
     地球上には植物を含め、様々な生物がいるが、明日に向かって目標を立て、挑戦することができるのは人間だけだ。人間以外は今まで通りの毎日を繰り返しながら生きている。しかし我々の遺伝子のほとんどは人間以外の生物と大差がなく、チンパンジーとは99%一緒だという。人間の部分は1%しかないから、新しいことに挑戦するのは大変なことだが、市場経済の中で「今まで通り」では勝ち残れない。
     「今まで通り」から脱皮するためには、例えば、事業の目標を決めるときは「昨対比10%増」といった現実的な目標を立てるのではなく、無茶苦茶と思うような桁違いの目標を立てて、そこに向かって挑戦することだ。テンポスドットコムは30億円の売上だが、1000億円をゴールに掲げている。もし現実的な目標を設定していたら、それに見合った努力しかできないだろう。1000億円という桁違いの目標を設定することで、やる仕事も大きく変わってくる。大事なことは、誰かに指示されてやるのではなく、自分で「桁違いの目標を達成しよう」と挑戦すること。これにより自分の能力は新たな次元へと広がっていく。そんなふうに自分の人生を作っていって欲しい。
  3. 家族を大事にする  30秒でいいから親の手を握ってみること。「惻隠の情(そくいんのじょう)」という言葉があるが、そのたった30秒で、親への慈しみや感謝、恩を伝えることができるだろう。また親だけでなく、嫁や旦那の手も握ってみる。お金を稼いでいるからといって、家族が幸せになるわけではない。自分から感謝の気持ちを言葉や態度で表すことが大切だ。
     「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」という言葉がある。これは、いざという時に自分の命を惜しまず投げ捨てる覚悟を意味する。一方で「可惜身命(あたらしんみょう)」という言葉がある。これは「体や命を大切にする」という意味だ。一見、対照的な言葉に見えるが、この二つはセットで考えられるべきものだ。命は大切にしなければならないが、いざというとき家族や国を守るため、命を懸ける覚悟もまた必要だということだ。
  4. 社会人としての人間関係  我々は一人で生きているわけではない。社会人として周囲の人たちと良い人間関係を築くことが重要だ。自己中心的に考えるのではなく、「ごめんなさい」「ありがとう」ときちんと言えるか、気配りができるか、協力しているか。

 今後、テンポスグループはM&Aで拡大していく。従業員2300人から、あっという間に従業員1万人程の規模になるだろう。そのとき、今ここにいる幹部社員は、森下兄弟が言い残したい4つのことを、新しく仲間になる人たちにしっかりと伝えてもらいたい。

編集後記

 テンポスには「テンポス精神17ヶ条」がありますが、確かにこの4つに通じます。ビジネス社会で、単に生き延びるではなく勝ち抜いていくために、挑戦を続けていきます。親の手を30秒握るのはちょっと気恥ずかしいですが、機会を与えていただいたことに感謝して、しっかり握りしめてきたいと思います。

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