2024年9月5日

【役員研修】自ら考えることを奪われると人間はどうなるのか。厳しい環境を作り出す理由を考える

8月24日、2024年8月度の役員研修を行いました。 役員研修は、グループ会社の社長・幹部が集まり「人間をつくる」「成果を上げる」の観点から実践的な研修を行います。今回、社長の森下は、目標を持つことの重要性について話しました。

―社長
  創業者亡き後も成長戦略を取り続けていかねばならない。人間には三種類あって、「普通の人」と「働き者」、そして「掘り出しもの」だ。普通の人は、上司から指示されたことを指示通り実行する人。働き者は、ひたむきで、指示されたことをこなすだけでなく工夫改善して指示以上のことをやる人。そして掘り出しものは、さらに一歩進んだ存在で、ひたむきに働き、指示されたことに対して、目標を達成するまで工夫改善を“連続して”行う人のことを言う。「掘り出しもの」と呼んでいるのは、この働き方をする社員を見つけたら、幹部は他の部下より負荷をどんどん与えて能力を引き上げ、育てていくという意味もあるからだ。当然ながら、ここにいる管理職者が「掘り出しもの」クラスの働き方をしなければ、幹部としての資格が無いことは言うまでもない。

―社長
  日本では約8割の世帯が、金融資産平均400万円の下層階級に分類される。ところが、江戸時代の下層階級と違って食うに困るわけではないので、現代の日本人は自分が下層階級だということを知らずに暮らしている。下層階級を抜け出して上に行くためにはどうしたらいい。それは目標を持ち、目標に向かって努力し続けることだが、下層階級にいる人たちは今のままで十分心地よいので、「安心、安定」を求め、変化を嫌う。自己啓発しないで過ごしてきて、年を取って、年金が少ない、格差社会だと人のせいにする。
  テンポスは、115作戦(10年以内に1000人に5000万円の金融資産を持たせる)で、今2315人いる社員の少なくとも半数以上を強制的に下層階級からその上に引き上げようとしているが、まずは下層階級を抜け出す意思を持ってもらわないといけない。
  そこで、どうするかだ。今から4つの事例を紹介する。そこからどのようなことが言えるかを考えて、「人生というのはこういうものなんだな」という、生き方の法則や考え方を導き出しなさい。そしてグループでディスカッションして、グループとしての見解を発表しなさい。

<事例>

  1. 高校の進学クラスで、休みの日に自主的に6時間以上勉強する人が28%いる。一方で就職クラスになると、1か月間勉強しない人が70%いる。
  2. ある高齢者の介護施設で行われた実験の結果。入居者を2階と3階に分け、2階の人は、自分で好きな鉢植えを選んで自分で世話をする、好きな時間にシアタールームで映画鑑賞できる、面会は16時までなら毎日自由。一方3階の人は、看護人が鉢植えに水やりをする、映画を見る時間は決まっており、その時間になったら声かけてくれる。面会は火木の10時~11時半に限定されている。3週間後、2階の人はイキイキしてきたのに対し、3階は調子が悪くなる人が出てきた。介護施設だから亡くなる人もいるが、半年後、明らかに3階の死亡率が高かった。
  3. モーレツに働く幹部と中堅幹部を比べると、平均寿命以上生きる割合が、モーレツ幹部の方が50%くらい高かった。モーレツ幹部と一般社員では、モーレツ社員の方が3倍高かった。
  4. 野生の象の寿命が60年に対して、動物園の象は17年。

お題を受けて、参加者はそれぞれ見解をまとめ始めますが、森下社長から追い打ちが。

―社長
  追加でもう一つ、混乱させる話をする。宗教信者は、うつ病になる人が圧倒的に少ない。さあ、まとめなさい。

熱を帯びるディスカッション。お互いの話を真剣に聞く文化はテンポスの宝物です。

各グループで議論し、代表者がそれぞれ発表。「自分で考えることによって目標が生まれ、自主的に動くようになる。」「至れり尽くせりだと生存本能が刺激されず覇気がなくなる」「自然社会もビジネス社会も、過酷な環境にいる方が社会的にも肉体的にも成功する」「宗教信者は、考え方も教祖に教えてもらうので心は安らか」などの意見が出ました。しかし森下社長から追加で「高校野球の強豪校の監督が、全体練習から自主練習に変えたら勝つチームになった」という新たな要素が提示された。続けて、「自主性が大事だという結論を各グループだしているが、我々がテンポス道場や80キロ歩行研修、年に250時間の研修、さらに50時間の日本人教育などを社員に強制しているのはなぜか。自主性に任せると成果が上がる・能力が上がるという結論と、当社の人材教育の方針とどう整合性を持たせるか」というお題が出され、さらに議論もヒートアップ。ああでもない、こうでもないと言いながら、高校野球強豪校の件は、トップ中のトップ、選りすぐりの選手たちの話なので、“普通の人”が集まるテンポスとは次元が違うため、そのレベルで論じるのはまだ早い。テンポスが「厳しい環境」を強制しているのは、社員が自主的に動けるようになるまでは強制的に厳しい環境を与えて育てる、という見解でまとまりました。

グループ内でディスカッションしてまとめた見解を発表する代表者

編集後記

  テンポスグループは今後、1000億企業、さらには2000億企業を目指して事業を拡大していきます。これから起こる激流のような変化に耐え成長していくには、社員全員の頑張りが必要です。テンポスでは24時間かけて歩行する「80キロ歩行」研修や、一泊二日の厳しい「テンポス道場」研修、業務で必要な知識・スキルを学ぶための年間250時間の研修を行っています。さらには9月から全社員に50時間の日本人教育を行うなど、強制的に厳しい環境を作って社員に変化を経験させる一方、「自分の人生は自分で決める」というポリシーのもと、社員一人一人に人生設計を「マイライフシート」に書かせて、実現できるようアドバイスやサポートを行っています。このように社員全員の能力の底上げを図りながら、その中で、積極的に会社を作り上げていく意思を持った意欲的な人たちには「115作戦」で金融資産5000万円を作る資産形成までサポートします。
  テンポスグループの厳しい環境はときに「ブラック」と思われることもありますが、パート含め半数の社員に5000万円の金融資産(一人当たりの平均)を持たせようとしている企業が、テンポスグループの他にあるでしょうか。テンポスグループは「ひかるブラック企業」として、「厳しいが、優しい」を体現していきます。

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