2024年5月8日
【役員研修】時価総額500億円を突破。これからの成長戦略と人材育成を考える。4月20日、2024年4月度の役員研修を行いました。
役員研修は、グループ会社13社の社長・幹部が集まり「人間をつくる」「成果を上げる」の観点から実践的な研修を行います。今回、社長の森下は、“門弟の教育”について話しました。
―社長
先日、広い会議室を貸し切って全国の幹部社員約160名を集めた全国店長会議を開催した。
なぜわざわざ人を現地に集めて会議を行うかというと、管理者一人ひとりに「会社がこれだけの規模になったのか」と自覚してもらうことが狙いだ。
パート含めて従業員数は2,000人以上、時価総額も500億円を超えた。2024年度はM&Aがまとまれば売上高も500億円を超えてくるだろう。
この規模になってくるとM&Aの提案も大型化してきて、テンポスが1000億企業になるのもいよいよ現実味を帯びてくる。そのための成長戦略の一つに海外戦略がある。
テンポスグループでは外国人人材紹介事業を行っており、ミャンマーに日本語学校を開校する予定だ。 ここでミャンマーの若者に日本語を教え、送り出し機関を通じて働き手として日本の飲食企業に送り込んでいく。 数か月後には同じくミャンマー国内にもう一校の開校を予定していて、この勢いで東南アジアを中心に5~6校の日本語学校を抱える人材紹介会社にしていく考えだ。 また、人材紹介だけでなく、ミャンマーに、中古厨房機器の修理、再生を行う「テンポス再生センター」を作り、経済規模の大きいタイにテンポスの店舗を出店する構想だ。 そうなれば、ステーキのあさくまや回転寿司のヤマトサカナなど、グループ会社の海外展開の足掛かりにもなる。売り上げ規模も拡大し、海外展開も当たり前になってくると、幹部も増える。 さらに、海外だけでなく、M&Aを行うことで外部からどんどん人材が入ってくる。買収した企業の社員に対しては、テンポス社員としての行動指針である「テンポス精神」やテンポスでの働き方等を教えていく必要があるが、 彼らは我々には無い経験やノウハウを持つ尊敬すべき相手だ。教える立場である我々のレベルが低ければ、教えるなどと偉そうなことは言えない。テンポスの幹部社員がまずやるべきことは、自社の社員を一人前に育てるために、 礼儀や気配りなどを徹底的に教えながら、仕事では楽な道を歩ませるのではなく、困難な道へ挑戦させることで、結果的に社員が成長を実感できるような“厳しいが、優しい”、そんな育て方を身に付けること。 そして、買収した企業の社員に対しても、尊敬しながら同じ姿勢で、テンポスの行動指針や働き方を教え込まなくてはならない。
「厳しいが優しい」とは何か
―社長
道場六三郎は、料理人を目指して上京する際に親から「お前は障子だ。障子がガタピシしてきたときに、敷居や鴨居を削るのはありえない。
削るのは障子だ。つまり親方や先輩ではなく、ひたすら自分自身を削るしかない。それが修行というものだ」と心構えについて教えを受けたという。
修行先は厳しい環境で、もたついていると怒鳴られてしまう。そこで六三郎は「きれいに」と「人より早く」を意識して取り組んだ。
一度に切る野菜の量を増やして生産性を高めたり、冷蔵庫のどこに何を入れるかを決めておいて食材を探す無駄な時間をなくしたり、
食材の量が減ってきたら大きい入れ物から小さい入れ物に変えて冷蔵庫を効率的に使ったり、とにかく工夫を重ねた。
また、誰より早く来て厨房を掃除したり、先輩の白衣を準備したりと、身を粉にして働いているうちに、意地悪だった先輩から料理のレシピを教えてもらったり仕事を回してもらえるようになって、料理の腕を上達させることができたという。
一方で、全国のケーキ屋の見習いが、頼み込んで修行させてもらう有名なケーキ屋がある。
12月はクリスマスがあって当然忙しいが、修行だと分かっているはずなのに、年末の忙しさに参って辞めていく奴が毎年必ず何人かいるという。
一日3時間睡眠が10日間ほど続くので「ブラック企業だ」と辞めていってしまう。誰かに相談してもその人もまた「ブラック企業だ」というもんだから歯止めが利かない。
今はそういう時代だ。
そんな時代に、上司である師匠は弟子をどのような考えで教育しなければならないか、幹部社員は考えてほしい。
育てるには「厳しい」と「優しい」の両方が必要だ。弟子を育てよう!と思って厳しく育てるのは良いが、育てる気もないのに、
ひたすら厳しくするのは単なるいじめである。しかし、いじめているのか、育てているのか、外から見ただけでは違いが分からない。我々が目指すのは、
「厳しいが優しい」、そんな指導である。
(編集コメント)
社長の話の後、参加者はグループに分かれて「厳しいが優しい」について話し合い、発表しました。
最後は責任を持つ覚悟で任せる、最後まで見捨てない、など様々な意見が出ました。いずれも見返りを求めない“無償の愛”のようであり、
「ひかるブラック企業」の一端を見たように思いました。
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