全社員へ2025年04月02日
師匠と弟子数年前に、映画の脚本家デビューした一人の女性がいた。女性は数年前からある男性脚本家に何度も自分が書いた作品に助言をお願いし、男性脚本家は自身の勉強会に招待などをして、師弟関係になっていった。そんな中、映画のシナリオの仕事が女性に決まった。しかし、新人の名前だけでは資金や役者が集まらない為、プロデューサーは男性脚本家と連名でシナリオを書くことを求めた。男性脚本家は、自分の名前を出す以上、作品に手を入れると女性に念を押して言っていたが、女性はあくまでも助言や簡単な手直しに留まることを想定していた。しかし、シナリオが大幅に書き直されていた為、すぐ戻すように要望し、一旦聞き入れてもらえたが、お互い不信感が芽生えてしまった。撮影開始が間近に迫る中、男性脚本家がまた別の部分を書き換え、女性は決定した原稿に目を通さないまま撮影に入る。その後、納得が出来なかった女性は、著作権を侵害されたとして男性に110万円の損害賠償と、謝罪広告の掲載を求めて提訴した。森下社長、この場合どっちが間違っているんですか?
この女性は男性脚本家に助言をお願いした事を軽く考えていて、今の時代の考え方だと対等の雇用関係、もしくは取引相手ぐらいの関係だと思っていたと思う。また、男性脚本家は昔からの弟子と師匠の考え方であり、その差が価値観の違いとして顕著に出てしまい、すれ違ったんじゃないのかな。テンポスでの社員教育は、根本的に社員は“弟子・門弟”という考え方で、教育やトレーニングを行っている。弟子・門弟は昔の考え方で言うと、朝6時に来て道場の周りの庭を掃き、冬は冷たい水で道場に雑巾をかける。8時ごろ師範代が来たら、火鉢にお湯が沸いていると。これが弟子というものだ。それに対して「時間外手当もらえないんですか?」なんて言ったら、そんなの破門だ。師匠の言うことを理不尽だと思っても従う事で成長していく。師匠に対して弟子が文句を言う事など考えられない。まずはやってみる事が大切だ。その代わり、テンポスは師匠として、お前らを必ず1人前にする、プロにする。その先には自分一人ではたどり着けない未来が待っている。つまり、“あなたの人生をプロデュースしますよ”と、いうこと。こういう風な約束の中で、弟子と師匠の関係はある。
テンポスは師匠として弟子を育てるという観点から厳しい社員教育を徹底しているが、そのせいで世間の人から、時代錯誤のブラック企業と言われることもある。俺はむしろそれは時代の最先端だと思っている。世間が言う、ぬるい環境のホワイト企業は、日本の競争力が落ちている中で今は逆に時代錯誤だよ。大して働かないで賃金を上げろっていう考えは逆に時代錯誤だと思うよ。社員の賃金を上げる、待遇を良くする、生産性を上げるっていう事は、厳しいトレーニングがあってこそ。だけど、他の企業はそれを避けてきたんだよね。でもそれじゃ駄目だと、そろそろわかってきた。ホワイトでもぬるい企業は、そこで働く自分も成長しない。我々は最先端の会社をやっている。最先端の会社なんて少ないから賛同してくれる人もまだ少ないんだ。新入社員に80キロ歩行を研修でやらせるが、何の意味があると問われても、そのうちにわかるよ、と言うだけ。答えは自分で考え見つけさせる。志を高く持っている人はどんなにきつい環境でも人のせいにせずに自分の力で頑張る。甲子園を目指す高校生は日曜日に練習があっても、それをブラックだなんて思わないだろう。
俺がテンポスを「ひかるブラック企業」と言っている意味は、そういうことだ。
自分の置かれた環境に感謝する
厳しい環境の中で自分の力で獲得したものは、その人の財産になる。そして、ビジネスの視点から見ても、ひとりひとりが力をつければ、生産性が上がり、利益が増え、自分自身の賃金アップにつながっていく。厳しいけれど頑張った先に、ご褒美がある。努力した先にこそ得られる幸せがあると思う。
以前、外国人店長5人に半年で目標を達成したら、往復の旅費+10万円出す里帰りコンテストを開催した。他の日本人店長から何で外国人だけ?と批判が出たが、外国人スタッフは簡単に国に帰って家族に会う事もできない。祖国を出て日本に来て働いている外国人は、平和で恵まれた国で育った俺達には想像できないほどの厳しい経験をしているかもしれない。日本に生まれ育った環境に感謝しないといけない人を恨むな。
教えと絆
前述した記事のようなすれ違いを防ぐためには、師匠と弟子の間に信頼関係や絆が必要。師匠は弟子の成長のために厳しく指導するのはいいが、そこには愛がなければいけない。自己保身のために厳しくするだけでは、弟子はついてこない。師匠は、本当に弟子を思って指導することが大。命をかけて一人前に育てようとする愛情と覚悟が必要なのだ。
一方で、弟子側も自分の成長を真剣に考えるなら、師匠の言葉に耳を傾けるはずです。もし本当に早く一人前になりたいと思えば、師匠を信じて、どんなに辛くても頑張って続けるべきだ。厳しい環境を乗り越えることは、成長のための大切な経験であり、将来必ず役に立つはず。だからこそ、師匠は弟子のために厳しさの中にも愛をもって接し、弟子もその厳しさの意味を理解して、共に歩んでいくことが重要なのだ。